日常

ご縁を大切に #3

2022-05-02

ご縁を大切に #3

今回で「ご縁を大切に」のブログは3回目になります。
本来はそれっきりになっていてもおかしくないのに、なぜか2度もご縁が繋がったという信じられない体験をしたので、#3として書き残しておきたいと思いました。本当に何かの見えない糸があるとしか思えない体験でした。

ご縁の始まり

ご縁の始まりは、2017年頃。当時担当していた新製品のプロモーションで、VIPの方からのクレーム対応をマーケティング部門に依頼する必要があったのですが、その時の担当者が丁翰さんでした。彼は中国出身で、慶応大学でMBAを取得した後、新卒で会社に入社した期待の新人でした。何事も常に迅速に対応してくれ、生き生きと仕事を楽しんでいる様子に非常に好印象を持ったことを強く記憶しています。

その後、私は顧問契約が終了したため永年勤めた会社を離れ、丁翰さんも転職のため会社を去りました。そしてその翌年2018年の夏、丁翰さんからFacebookにメッセージが届きました。

「転職した先で働きながら起業をしようと思っていますが、人事総務の経験がある西濱さんに相談したいことがある」と。

詳しい話を聞くために久し振りに再会した丁翰さんは、転職した会社での退職に向けて有休消化の段階で、すでに中国でも起業している状態でした。そしてこれからは日本での起業に向けて集中して行くつもりなので、人事総務エリアで一緒にやらないかと提案してくれました。面白そうだと感じ、私は即座に手弁当で協力することを伝えました。それぞれ会社を離れしばらく時間が経っているにもかかわらず、意志が強ければご縁は繋がるものだなぁと思いました。

その頃は、会社に束縛されて嫌なこともやりながら生きて行く人生よりも、やりたいことをやって生きて行く人生のために起業をする人が増え始めており、“仕事”に対する価値観が変化しつつありました。私自身も主人の転勤でアメリカでの4年間の生活を終え帰国した時、アメリカで流行っているもの(クリスマスの手作りキット)を輸入するビジネスを思いついたものの、結局外資系で英語を駆使した職業の方が安定していると思い雇われる道を選んだという過去があったため、夢を純粋に追い求める丁翰さんに若かったころの自分を重ね合わせたように思います。

夢を追いかけて全力投球した日々

丁翰さんが日本でやろうとしていたことは、その頃中国・韓国・ベトナムなどですでに急成長していた、子育て中のママを応援する新しいスタイルの「キッズカフェ」のコンセプトを日本で展開すると言うものでした。そこで私の不動産・建設関係の人脈が大いに役に立ち、マーケッターの丁翰さんの素晴らしいプレゼンとで、何とかみなとみらいの物件を抑えることが出来ました。

勿論そこに行きつくまでは沢山の苦労がありました。物件選びに関しては、大手のショッピングモールやタワーマンションが連立するエリア、イタリアンレストランチェーン、カフェチェーン、横浜飲食業組合、日本政策金融公庫、法務局、横浜市役所など目ぼしいところへの働きかけを毎日のように二人でこなし、日本特有のアプローチが必要な組合その他は私が重点的に廻りました。いっそやるのなら大きなところにチャレンジしようとワクワクしたものです。

一方で、提供するサービスについてもすんなりとは行きませんでした。キッズカフェには軽食の厨房が必要にもかかわらずそれが想定していたよりもハードルが高く、資金繰りや、飲食に関係する仕入れ単価やマンパワー、集客や売上予測から何年で回収出来るかをシミュレーションするなど、私にとっては未だかつて経験したことない分野の仕事でした。厨房の衛生面などは自分で勉強してわかっていた方が良いとアドバイスをもらって、食品衛生責任者の資格まで取りに行きました。

そんな中でやはり資金調達が一番大変でした。飲食業の経験もない我々には難しいのではないかと思いつつも、ダメ元で1億円の融資の申請をしましたが、結果は当然NG。これだけの準備をしたにもかかわらず、融資が通らなければ全てが無駄になってしまうと途方に暮れてしまいました。

しかしながら、今思えばこれは非常にラッキーなことでした。融資が下りず落ち込んでいたのは2019年末。翌年にはコロナが蔓延するというタイミングでした。融資が下りていれば契約を締結せざるを得ず、翌年のコロナショックを受けながら大変な借金を抱え込むことになっていた可能性も十分考えられます。融資が下りなかったことによって、丁翰さんと一緒に手弁当で楽しい夢を追っかけたという思い出だけが残り、コロナで多額の借金を抱え込んでしまったと言う事にはならず、次回こそはと思える結果に終わったのです。

2年の空白を経て

時は流れて先週末。このところ上海のロックダウンのニュースが毎日のようにテレビに流れ、その都度丁翰さんは大丈夫かしらとずっと思っていたので、WeChatを2年ぶりに開いてみました。そしたらなんと丁翰さんからタイミングよく「ご無沙汰しております」とチャットが来たのです。それから1時間半WeChatでおしゃべりをしました。今はロックダウンで無理だけれども67月には何とか日本に帰国出来ると思うということ、夢を信じて起業するために頑張るので、また一緒にコラボできることがあれば是非一緒にということ、そして私の現在の活動の後押しも出来ればと言ってもらい、本当にモチベーションアップになりました。

まとめ

一度ならず2度までも空白の時を経て、偶然と言うよりもご縁としか言いようのない運命の糸で結ばれているような体験をして、ますますこのご縁を大切にして、お互いのビジネスにコラボ、チャレンジして行けば何とか形になって行くのではと思いました。

「ご縁」と言う言葉は、言葉でも表現できない出会いや状況を体験して、本当にありがたいと思う感謝の気持ちから湧き出る日本文化特有の感覚を表すものだと思い、これからもますます大切に使って行きたい言葉です。