思い出
ご縁を大切に #6
2023-04-17
これまでも何回かご縁について書いて来ましたが、思えば35年来の友人とのご縁について未だに書いていないことに気付きました。2020年8月に結成した”熟年女子会”のメンバーのひとりである社労士のAさんです。“熟年女子会”は、社労士のAさん、税理士のNさん、そして私の3人からなる集まりで、年に一度行きつけの和食レストランでランチをしながらあれやこれやを楽しくお喋りするという活動をしています。3人とも“前期高齢者”であり、それぞれの世界を生き抜いてきたこともあり、「3人寄れば文殊の知恵」という言葉通り思慮に富んだ会話を交わす一方で、「女3人寄れば、かしましい」を地で行く、いつも話題の絶えない賑やかな3人組です。
今回はそのうちの一人であるAさんとのご縁について書き留めておきたいと思います。Nさんについてはまた別に機会に。
社労士Aさんとのご縁の始まり
Aさんとのご縁の始まりの場所は、1988年の夏に参加した社会保険労務士受験講座週末コースでした。
当時35歳で人事総務マネージャーに抜擢された私は、急遽人事の基礎的な知識を身につける必要に迫られその講座に参加することになったのですが、そこで出会ったのが私より5歳下のAさんだったのです。その講座は受講生が300名ほどいたのですが、常に早めに行って前の座席を確保して授業を受けていた私の横に座って一生懸命講義に集中していたのがAさんでした。これが運命の出会いで、それ以降30年以上のお付き合いとなったのです。
前述の通り私は資格の取得が目的ではなく、短期間で知識を詰め込めれば良いなという程度の気持ちでしたが、Aさんはそうではありませんでした。主婦として暮らしていたのですが、将来のことを考えた時に何かしらの資格を持っておくべきだと思い、真剣に社労士になりたいという意気込みで講座に臨んでいました。毎週のテストでも、私がなかなか上位になれるような点数が取れない一方で、Aさんは常に上位に名を連ねていました。
そんな様子だったので翌年の春には私たちの差は相当開いてしまいました。一応私も問題集を買い込んだりしてみたもののあまり勉強に身が入らず、結果として買い込んだすべての参考書と問題集をAさんにお譲りして講座を受けること自体を断念してしまいました。仕事をしながらの受講だったために、そもそも仕事自体が忙しいし当然勉強時間も足りないので試験を受けたとしてもどうせ受からないだろうと資格取得については端から諦めてしまっていたのですが、今になってみるとそんな過去の自分がとても悔やまれます。「後悔先に立たず」とはこのことだと思います。Aさんと一緒に切磋琢磨して、2-3年かけてでも資格を取っておくべきでした。
Aさんのキャリアのスタート
その後Aさんから社労士試験の一発合格の知らせを受けた私は、直ぐに会社に掛け合い、Aさんを企業社労士として迎え入れる手筈を整えました。その頃の会社の規模はまだ50人くらいで、給与計算、社会保険手続き、年末調整などの人事系の業務を全て私ひとりでこなしていため、その他の人事の活動を行う余裕が全くありませんでした。そこでAさん来てもらい、そのあたりの業務をすべて任せることが出来れば、私自身は本社との関係を強化しながら人事制度の見直しや、福利厚生制度の充実などを手掛け、社員の採用と定着化に力を注ぐことが出来たのです。会社勤めの経験がなかったAさんからしてもこれは悪い話ではなかったのだろうと思います。色々と不安を抱える中での社労士としてのキャリアスタートが、ある程度人となりを見知った私とだったことは、幾ばくかAさんにとって安心材料になったのではと思います。Aさんからは今でも「このご縁があったからこそ今の自分がある」というありがたい言葉を頂けます。
その後Aさんを無事に“企業社労士”として迎え入れることが出来、2003年の会社の合併吸収で一気に1,400名の規模になるまでの14年間仕事をともにすることが出来ました。その14年間は非常に濃いもので、お互いに新たなことにチャレンジし、どんどん物事を進めて行ける環境でやりがいを持ってトライ&エラーをする毎日でした。
まとめ
これまで「ご縁を大切に」と何回かブログに書き留めて来ましたが、どれもご縁の深さを感じます。人との対話の中でご縁と言う言葉を使ったりしますが、最初から素晴らしい出会いがあったからご縁と言うのではなく、出会えたことをご縁と呼ぶから素晴らしい出会いになるとつくづく思います。どの出会いをご縁と取るかは自分次第。だからこそ私はこれからも「ご縁」を大切にして生きて行きたいと思うのです。