読書
読書メモ #5 – 鈍感力
2024-01-29
2007年に出版された「鈍感力」渡邊淳一著*には「鈍感力」の説明として以下のように書かれています。
長い人生の途中、苦しいことや辛いこと、さらには失敗することが色々ある。そういう気が落ち込むときにもそのまま崩れず、また立ち上がって前へ向かって進んで行く、そういうしたたかな力を鈍感力といっているのであって、単なる無神経で鈍感な人間の事ではない。ぜひ誤解しないで読み取ってほしい
今回改めて読み直す機会があったのですが、その内容が私自身の人生と重なる部分がいくつもあるなと感じました。そこで今回は、私の今までの人生の中で起こった様々な鈍感力のエピソードを思い出しながら、特に共感する章について考えたことを書き留めることにしました。
鈍感力 (集英社文庫) | 渡辺 淳一 |本 | 通販 | Amazon
其の壱:ナイーヴよりも、何を言われてもへこたれない鈍感力
商社マンと結婚した私は、20代後半の4年間をヒューストンでとても楽しく過ごしました。
毎年開かれる日本人会のクリスマスパーティで各企業が代表を出して余興をする習わしがあったのですが、ヒューストンに到着して4カ月しか経っていないにもかかわらず、私がお琴を披露するということがありました。それが評判になり、領事館、テレビ出演、ライス大学の日本の夕べ、州都のオースチンの富豪の夜会など、様々な場所でお琴を弾く機会に恵まれました。
そんな私の様子を見て、日本人の奥様方の一部の方が「あそこはご主人様より奥様の方が有名でいらっしゃるから」というような嫌味っぽいことを陰で言っていたようです。それを人づてに聞いた当時の私は、全く気にも留めませんでした。
今思うとこれは持ち前の鈍感力が発揮された場面だったような気がします。駐在妻同士の人間関係に悩むことなく楽しい日々を過ごすことが出来たのは、鈍感力のおかげだと思います。
其の九:結婚生活を維持するための鈍感力
『鈍感力』には、結婚の幸せは忍耐の賜物であるとした上で、下記のように記されています。
“その忍耐の裏には、素敵な鈍感力が二人を支え、守ってきたことを忘れるべきではありません”
夫婦の間には理屈では説明することが出来ない、感覚的に合わなくてイライラすることが無数に出て来ます。例えば歯磨きチューブをどのように押すかというような、些細な、そんなどうでもいいようなことが問題になるのです。夫婦のどちらかがシャープで神経質な人であれば尚更大変です。相手のすることなすことが気になり、ストレスが溜まってしまい、日々の夫婦喧嘩の原因となってしまいます。
ですから、結婚生活を長く続けていくためには、少し努力をして色々な場面で忍耐力=鈍感力を発揮する必要があるのです。
私と主人は一昨年金婚式を終えて、結婚52年目になりました。我々夫婦は、私はあまり色々なことを気にしないタイプですが、主人はけっこう繊細なところがあるため、時々口喧嘩をしてしまいます。しかし、幸いなことに主人は繊細ではあるものの全く根に持たないタイプの人なので、次の日の朝にはリセットしてくれるのです。いつも通りに早く起きて朝のサラダを作ってくれます。その主人の性格のおかげで結婚生活が維持出来ているのだと思っています。
其の十:癌治療のあらゆる時点で重要な鈍感力
ガンの予防から治療、そして社会復帰したあとまで、すべての点で大切なのは気持ちのもちよう、すなわち鈍感力です。鈍感力に優れていれば、ガンになっても、そう怯えることはありません。
この本には、心と身体のバランスを保つ重要な自律神経が変調を起こすと、癌が発生しやすいと書いてあります。
これを読んだ時に真っ先に頭に浮かんだのが主人のことです。主人は癌になってもいつも前向きで、絶対治して見せると癌に立ち向かう意思がありました。そんな前向きな姿勢のおかげでしょうか、生存率2%ほどの胃癌全摘手術から12年が経過しましたが、とても元気に暮らしています。私も、私の周囲の人々も、主人が癌患者だったということを全く忘れるほどです。
まとめ
本の締めくくりにはこうありました。
成功を収めた人々は、才能はもちろんその底に必ずいい意味での鈍感力を秘めているものです。そして、鋭いとかシャープであることだけが才能ではなく、それ以上に、些細なことで揺るがない鈍さこそが、生きて行く上で最も大切で、基本になる才能です。そしてこの鈍感力があってこそ、鋭さやナイーヴさも、本当の才能となって輝きだすのです。
十七章にわたって書かれた鈍感力のすばらしさで、さらに自信が湧いてきました。皆さんも是非この本で、鈍感力の意味を理解し、納得から確信そして行動に変えて行きませんか?