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読書メモ #1 「思いつきで行動してしまう脳と、考えすぎて行動できない脳」菅原洋平(作業療法士)著

2022-05-09

読書メモ #1 「思いつきで行動してしまう脳と、考えすぎて行動できない脳」菅原洋平(作業療法士)著

この本は一般的な心理学や脳科学の本にくらべ文章量も少なく、実際に現場でリハビリを指導されている著者が、“脳の上手な使い方”をとても分かり易く説明してくれた本なので、コミュニケーションの難しさを感じている人にもとても参考になる本です。私の失敗談などを添えてまとめてみました。

最初に7つのチェックテストをすることで自分の脳タイプがわかりますので、下記の項目に答えて自分のタイプを確認してみて下さい。

7つのチェックテスト – (A)か(B)を選択

・新しい電化製品は、(A)まず使うか、(B)説明書を読むか?

・何か面白いことがあったら、(A)面白かったところから話すか、(B)出来事の順に話すか?

・気になった本は、(A)面白そうなところから読むか、(B)最初から読むか?

・食品や日用品の買い物は、(A)まず店に行ってみて買うか、(B)買い物リストを作るか?

・お酒やワイン、お土産を買うなら、(A)見た目で買うか、(B)原産地や製造方法を読むか?

・お菓子を開けるときは、(A)開け方を見ずに開けるか、(B)開け方を見て開けるか?

・旅行に行くときは、(A)行きたいところに行くか、(B)行けるところに行くか?

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第1章:脳には2つのタイプがある – 「同時系」と「継次系」

本の中では、人間の脳には2つのタイプがあると説明されています。一つは「同時系」。ひらめきタイプとも呼ばれており、このタイプの人は思考をする際に主に頭頂・後頭葉を使い、思いつきで行動することが多いとされています。

もう一つは「継次系」。堅実タイプとも呼ばれ、思考の際には側頭葉を使い、「同時系」とは逆で、行動する前に考えすぎてしまい結果として動けなくなってしまう人のことを指します。前述のチェックテストで言えば、(A)が多い人が「同時系」、(B)が多い人が「継次系」に分類されます。

この脳タイプ診断の結果の利用法は沢山ありますが、例えばチームで仕事をする際に、予めメンバーの脳タイプを知っておくことで、自分とは異なるタイプの相手の思考を理解するのに役立てるといったことが出来たりします。

第2章:「思い付きタイプ」が評価され、信頼されるための方法

先のブログにもありますが、50歳の時に受けた360度評価の結果を思い出すと、その頃の私は (A)「同時系」だったと思います。あの頃この本に巡り合っていれば、どれほど気持ちが楽になっていただろうと思いますが、残念ながらこの本はまだ出版されていませんでした(笑)

そんな私も含めた「同時系」の人が注意すべきこととして挙げられていたものが、実際に私が感じたこととダイレクトにリンクすることがあったので、それを2つほど紹介します。

・相手に意見を求めるときは“頑張って”黙る→自分から部下に意見を求めておきながら、結局自分の意見を押し付けているということがありました。部下からすれば、結局チームメンバーの意見を聞いていないと受け取られていました。

・「絶対」と言う言葉を使わないようにする→「絶対そう」と決めつけてしまうことが多々ありました。元々がトップダウン思考なのも相まって、全ての人が私と同じ考えを持っていると思いこんでしまっていました。

第3章:「頭でっかちタイプが評価され、一目置かれるための方法

私には当てはまらない部分もありますが、一緒に仕事をした人たちの中に「継次系」タイプの人もいたなぁと思い出します。そんな「継次系」の人たちが気をつけるべきことを、私が彼らに抱いていた印象とともに紹介します。

・セリフの前に「じゃあ・・・」と言ってみる→『継次系』の人たちは、物事に対して「いい加減なことを言ってはいけない」という思考から慎重になりがちなので、自分から話し始めず、相手に話しかけられてそれに応えるという場面が多いですね。思考→行動と言う順番を、行動→思考に変えるために「じゃあ・・・」と言ってみることが効果的だと本には書かれています。

・事実確認できないことは考えない→新しい上司が赴任して来たり業務内容が大幅に変わるといった時に、不安を感じることはある程度仕方のないことですが、そんな時は不確定要素が多いことも事実です。まだ決まっていないことに対して、あれやこれやと考えてしまう「憶測グセ」をやめて、まだ決まってないことを考えることはやめると割り切りましょう。

第4章:なぜ苦手な脳の使い方をすると、良い結果が出せるのか?

この本の中では、脳のやる気が一番引き出されるのは、50%は結果が予測できて、50%は結果が予測出来ない状態の時だとされています。実際そのバランスを意識的に取ろうとするのはなかなか難しいのですが、社会生活を送る中で、『同時系』と「継次系」のそれぞれの役割が求められることは珍しくありません。人事異動や結婚、子育てなど、自分のルールや常識が通用しない出来事を経験する時には、相手や状況に合わせて自然と脳のタイプを切り替えながらバランスを取っているのです。

例えば自分は本来「同時系」なのに、暮らしや仕事で他人に合わせて「継次系」の要素を求められているような場合は、暮らしや仕事の窮屈さを感じているので、趣味で自分を解放する「同時系」の行動をすることでバランスを取って良い結果が出ることはよくあります。これが苦手な脳の使い方をすると、良い結果が出ると言う事例の1つです。

第5章:チームの脳タイプを知って、最高のパフォーマンスを発揮する

「同時系」「継次系」のそれぞれのタイプのメンバーを適材適所に配置することがとても重要です。特にチームで結果をもとめられる時は自分だけでなく、周りの人の脳タイプを知っておくと、コミュニケーションの誤解も減り、最高の結果に近づけることが出来ます。

まとめ

この本では、脳について知ることによって人間をより深く理解するために役立つ考え方が書かれています。人間関係を築くのが不得手なので出来れば人とかかわりたくないと言った考えを持つ人達にとって、また私のようにメンタリングに携わって少しでも人のお役に立ちたいと思っている人間にとって、何度も読み返したいバイブルのような内容でした。是非皆さんも一読されることをおすすめします。