思い出
ご縁を大切に #8
2023-07-18
「袖振り合うも多生の縁」ということわざがあります。「どんな出会いでも偶然ではない。この世に生まれる以前からの深い縁によって生じるものなので、大切にしなければならない」という仏教的な教えの言葉です。「ご縁を大切に」という言葉をモットーにしている私にとっては、この言葉も同様に自身の人生観にしっくりくるものです。
今回は、「袖振り合う」くらいの始まりの出会いでしかなかった方との10年に及ぶご縁について書き留めておきたいと思います。
ご縁の始まり
それは2014年5月に大阪城ホールで行われたジュンス(元JYJのメンバー)のライブで、グッズ売り場の列に並んだ時まで遡ります。「ご縁を大切に #5」では、Kさんとそのお友達について書きましたが、実はその時に一緒に長蛇の列に並んだ仲間の中に、今回の主人公であるキムさんもいらっしゃいました。キムさんは20代前半の韓国人女性で、韓国とビジネスをしている日本企業の通訳として働いていらっしゃいました。Kさんのお友達とキムさんと私の4人でお喋りしながら4時間並んだ後、売り場目前でグッズが”Sold Out”になってしまい大ショックを受けたことは以前に書いた通りです。
ここからは以前のブログには書いていないことです。Kさん達と別れた後、キムさんに誘われてお茶をしに行きました。共通点はただジュンスの大ファンというだけで、40歳もの年の差がある私達でしたが、すぐ打ち解けてお喋りすることができました。K-POPなどの韓国文化にはずっと傾倒していましたが、実際に韓国人の方と接するのはその時が初めてで少し緊張しましたが、やはり「同じ人を推している」という共通点は偉大で、国も年齢も超えて繋がることが出来るのだなと実感することができました。
キムさんとの思い出
その後もキムさんとは一緒に色んな思い出を作りました。
大阪の出張から新幹線で帰っている時に、キムさんが住んでいる岐阜羽島に寄って1泊しようと急に思い立ち、新幹線を途中下車してキムさんに会いに行くなんてこともありました。冷静になって考えてみると、ちょっとお茶をしてお喋りしただけの私が、新幹線を途中下車してまで自分に会いに来るなんてと、キムさんはびっくりしたと思います。
それからは、3カ月に1回くらいのペースでキムさんに会っていました。ジュンスのコンサートやミュージカルのためソウルに行くたびにキムさんに連絡をし、食事をしたりコンサートやミュージカルを一緒に見たりして楽しい思い出を作りました。その中で一番思い出深いものは、2014年にキムさんに連れて行ってもらった、韓国の小劇場で上演された創作ミュージカル(DEVIL)の初演でした。キムさんは主役の1人のイ・チュンジュがまだ人気が出る前からファンクラブに入っていて、上演終了後のサイン会にまで連れて行ってくれたのです。そこで主役の4人に書いてもらったサインは、今では入手困難なシロモノであり、私の宝です。
実は今回、その10年前に連れて行ってもらった韓国ミュージカル(DEVIL)が日本で初公開されることになり、しかもイ・チュンジュが主役の1人と言うではありませんか。これは是が非でもキムさんにお伝えしなければと連絡したところ、キムさんはすぐさま1泊2日での来日を即断してくれました。そして2日間で2回DEVILを一緒に観ました。キムさんの「思い立ったが吉日」と言わんばかりの行動に共感し、国も年齢も違えども様々なことが分かり合える人に巡り合えることが出来たのだなと感慨深い思いでした。あの時大阪城ホールの外で4時間グッズ売り場に並んで待ち続けなければ、この得難いご縁はなかったと思うと感無量です。コロナが開けて久々の感極まる出来事でした。
まとめ
キムさんとソウルや東京で一緒の時間を過ごすたびに、キムさんの相手への思いやり、特に年上の方を敬い配慮する謙虚さ、ぶれない自分軸、価値観や多様性を受け入れる寛容さを感じます。それがとても心地よく、このご縁に感謝していつまでも大事にしたいと毎回お会いするたびに感じます。
「袖振り合うも多生の縁」と言っても、偶然の出会いにあぐらをかいて自分で行動しなければ、ご縁と呼べるような関係にはならないのではないかなと思います。一生のうちに何十人何百人の方々と偶然知り合うと思いますが、お互いに幸せな人生にしたいと思いご縁を大切にする気持ちを持つからこそ、ご縁が広がって行くような気がします。
これからも「袖振り合うも多生の縁」ということわざを胸に抱き、ご縁を大切にしながら日々の偶然の出会いを楽しんで行きたいものです。